9月21日から出張で埼玉に行く機会があって、東京での打ち合わせの空き時間に太田記念美術館に行ってきました。原宿駅のそばの路地を入ったところにある浮世絵の美術館です。
もう10年以上前かな。浮世絵に興味を持った時期がありまして、長野県小布施の北斎館や、岩松院に行ってみたりしてたことがありました。その頃1度だけこの美術館にも行ったことがあります。
今回の展示は、浮世絵師たちのシニア・パワー 北斎・広重・三代豊国 還暦からの挑戦
3人の超有名浮世絵師が還暦を迎えた後に産み出した作品ばかりを集めた展示です。
北斎は90歳まで生き、その最晩年まで作品を書き続けたことで有名。代表作の「富嶽三十六景」も72〜73歳のときの作品です。かの有名な「神奈川沖裏波」も展示されてました。
こんな斬新な構図を70を過ぎて産み出すなんてすごい!
75歳のときに刊行した「富嶽百景」のあとがきには、「70歳までに描いたものは、とるに足らぬものである。73歳でやっと生き物の骨格や草木の生まれを知った。80歳になればますます腕は上達し、90歳で奥義を極め、100歳で神技といわれるであろう」 って書いてあるそうで…
これまでにも「北斎漫画」をはじめとする素晴らしい作品を残してるんですけどね。北斎にとって90歳で死ぬのはなんとも不本意だったようです。
このパワフルさはなんなんでしょう。
歌川広重はもちろん「東海道五十三次」で有名ですが、広重がこの作品をものしたのは35〜36歳のとき。
今回展示されている「富士三十六景」は、もちろん北斎の「富嶽三十六景」に対抗したモノで、北斎のものより写実的。北斎の没後に発行されたそうです。
広重の作品で一番良かったのは、やっぱり「名所江戸百景 亀戸梅屋敷」。ゴッホが絶賛し、模写したと言われる作品です。構図が素晴らしい。
広重は、他の絵師に比べてぼかしの技術が優れていると言われ、これは刷り師の高い術によるもので、刷り師の名前がちゃんと入ってるんですよね。
「名所江戸百景」は62歳で亡くなった広重の最晩年の作。死ぬ間際まで素晴らしい作品を生み出していました。
そして三代歌川豊国。現代では、浮世絵といえば北斎・広重・歌麿(写楽?)って感じですけど、江戸時代に一番人気のあった絵師は、この人だったようです。
作品の数もすさまじく多く、歴代1位。79歳で亡くなりますが、彼もまた亡くなる直前まで精力的に作品を残します。どうなってるんだ、この爺さんたち…
正直言って、今回この展示を見に行ったのは北斎の名にひかれてだったのですが、豊国の大首絵・美人画がすごくよかった。
「浮世絵=江戸時代のポスター」っていうのがよくわかるぱっと見て心ひかれる印象に残る絵です。当時の女性たちの着物の流行や、人気の役者がわかって楽しい。
市川團十郎の系統図なんかもありましたよ。海老蔵ってすっごい家系の人なんやってあらためて認識してみたり。
太田浮世絵美術館では、「浮世絵を聴く」という催しもやっていて、文楽や地唄・常磐津なんかが聞けるコンサートがあります。
東京の方はぜひ。私も近くだったらぜひ行きたい!